口腔外科医のあれこれ

某市中病院で働く口腔外科医が、日々の診療のことや旅行記などなどを書いています。フィクションあり、ノンフィクションあり。信じるか信じないかはあなた次第。

ヤク中、入院中

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連休当直初日に近隣歯科病院から受け入れ要請があった。

30代男性の蜂窩織炎(顎が腫れている)で、蜂窩織炎の消炎処置(皮膚を切って膿を出す処置)は全身麻酔でしたのだが、術後に暴れて手がつけられず、その病院にはICU(集中治療室)がないので、ICU管理をして欲しい、とのことだった。

 

薬で鎮静され、呼吸管理のために口から挿管チューブが入ったままの患者が救急車で搬送されてきた。そのままICUへ入室させ、薬剤の設定をしたりなんだりで事なきを得て、その日はそのまま当直室へ戻った。

 

翌朝、挿管チューブ抜管に向けて薬剤鎮静を徐々に減らしていっていたのだが……昼頃になって、ICUからコールが。

突然患者が暴れ出したというのだ。

鎮静が切れてきてもそんなに大暴れする人は多くないのだが…行ってみると、看護師さん3人がかりで抑えていてもベッドが動くほど暴れている。

 

この患者、実は覚醒剤の常習犯で、ヤク切れで暴れ始めたのだ。

まぁその力のすごいのなんの…男の看護師さんそれぞれ1人ずつで両足を抑えても体ごと持ち上がってしまう。

抑制帯もガタガタ音をたてていて、今にも外れそう…

挿管チューブも噛みちぎらんばかり。

 

自分で呼吸もしてるし、噛みちぎられるくらいならチューブ抜こう!ということで麻酔科の先生も呼び、大人6人がかりで抜管した。

その後も鎮静が効くまで30分程抑え続け、皆汗だく。

 

軽い鎮静をし続けてどうにか管理していたが、その2日後に警察が来院した。

なんでも覚醒剤常習犯で逮捕しようとしていたのだが、そうこうしている間に救急搬送されて入院してしまっていた、という…。

問答無用でそのまま警察病院に転院となり、皆ほっと一息…。

 

ヤク切れって恐ろしい…

改めて覚醒剤の恐ろしさを確認させられる体験であった。