放射線科を回っていた頃。
放射線科では毎日何百件と取られるレントゲン画像をチェックしコメントをつける、所謂読影レポートを書く作業をしている。
画像は部屋が明るいと見にくいので照明をギリギリまで落としてあり、穴蔵のような部屋。そこで数人の放射線科医と共にひたすら画像をチェックしていた。
ある日、救急から1人の患者のCTがオーダーされた。
肛門異物、ということでオーダーされて読影を始めると……
男性の肛門にはなにやらモーターなどが映り込んだ細長ーいものが挿入されていた。
こ、これは…バイブだ!
(冗談じゃなく、ほんとにこういうやつ)
カルテをみると、パートナーと致していた時に、アナルにバイブを入れたら取れなくなってしまい、激痛で歩けず救急車で搬送されたのだという…。
いつもはネクラな放射線科の先生は大興奮。
物凄い勢いでパソコンのキーボードを叩きレポートを書き出した。
「異物はバイブレーターと思われます。一部S状結腸に達していますが、S字越えはしておりません。」
S字越えってなんだよ…と思って調べたら、異物がS状結腸を越えることなんだそうだ…
その先生曰く、ここを越えると性感帯は無くなるんだそうだ。
詳しすぎるやろ……
レポートを書き終え、満足そうにふぅー、と一息つきコーヒーを飲む先生。
「これだから放射線科医はやめられないぜ。」
と一言。
…いや、全然かっこよくないからね?
寧ろ今、あなたのむっつりスケベがダダ漏れでしたからね?
もうつっこみどころ満載すぎて…
因みに、バイブに紐がついていなかったので摘出は困難を極め、結局その患者さんは手術でバイブを除去し、無事に退院していった。
バイブ入れるときは、紐付きにしようね。