口腔外科医のあれこれ

某市中病院で働く口腔外科医が、日々の診療のことや旅行記などなどを書いています。フィクションあり、ノンフィクションあり。信じるか信じないかはあなた次第。

夢見るドクター

救急科から、舌を噛んでしまった小児の処置の依頼があった。
ほいほーい、と救急科に降りていく。

 

1歳のお子さん。遊んでいたら転倒して歯で舌を噛んでしまったとのこと。みると、舌が3cmほどざっくり切れている。
これは縫わなきゃならん。。

 

救急科の先生に手伝ってもらい、まずは舌の先にひと針糸をかけ、それを持って舌を前方に牽引してもらった。
とたんに火がついたように泣き始め、ものっすごい力で抵抗する1歳児。
これは時間との勝負!
局所麻酔して、ザクザク3本縫い合わせ、正味10分程で終了した。

 

処置後に救急科の先生と話していると、
「いやー…僕、あんな舌に針ざくって入れて、前方に牽引するなんて、初めて見ました…トラウマになりそうです…」
と言われた…
よほどショッキング映像だったようだ…
彼からは拷問のように見えたそう……つらい……

 

翌日…
例の救急科の先生に遭遇したら、
「先生、僕、昨日先生に舌牽引される夢を見ました……怖かったです…」
と…

どんだけトラウマ!?
あなたたちもっとすごいこといっぱいしてるでしょうよ!!
と内心つっこみ

 

彼と飲みにいくと、あの光景は今でも忘れられないよ、といまだにいじられている。
今でも夢にみるのかな。

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