口腔外科医のあれこれ

某市中病院で働く口腔外科医が、日々の診療のことや旅行記などなどを書いています。フィクションあり、ノンフィクションあり。信じるか信じないかはあなた次第。

不思議なハダカデバネズミ

学生の頃、同級生にハダカデバネズミ、というあだ名の男子がいた。

ハダカデバネズミとは、アフリカのエチオピア、ケニア、ソマリアなどのサバンナの地中に暮らしているネズミ。

大きさは7㎝くらい、平均80頭、最大で300頭くらいで群れをつくって生活している。名前のとおりハダカ、つまり毛がなく肌が露出していて、歯が口の外に出ていて、一見すると不気味なのだが、よく見ると愛嬌のある顔をした、“キモカワイイ”ネズミなのである。

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肌のシワの感じといい、前歯の感じといい、かなりその人はハダカデバネズミに似ている。

別に皆悪気があったわけではなく、愛嬌をもってそう呼んでいた。よく言ういじられキャラだ。

 

このハダカデバネズミに関する記事を最近見つけた。

実はこの子達、癌の研究に大きく寄与するというのだ。

 

人間も動物も長寿化している現代、癌の罹患率は年々増加している。

私たち口腔外科でも、年々舌癌が増加傾向にある。

 

ハダカデバネズミは実はとても長生き。

実験に使用するラットなどは寿命約2年程なのに対し、ハダカデバネズミの寿命は20年程。

かなーりご長寿ネズミなのだ🐭

そんなハダカデバネズミ、なんと癌に罹患した個体がほとんどいないのだそう。

 

ハダカデバネズミは体内に多くのヒアルロン酸を持っている。

そのヒアルロン酸が癌の発生要因の1つである無秩序な細胞増加をコントロールすることと、タンパク質が酸化ストレスによって損傷を受けるのを防いで癌化を防いでいるのでは…という見解なのだそう。

まだわかってないんですけどね。


また、地下生活を送る彼らは低温・低酸素で生きており、新陳代謝が低いことが長寿に関係しているかも、さらにその環境が、癌の発症率にも関係しているかも!?

という見解もあるんだそう。

 

ハダカデバネズミの細胞は癌細胞がないことから、ハダカデバネズミの細胞でiPS細胞を作る試みもなされているそうで、可能性が広がりますね。

 

見たこともない不思議な生き物ですが、こんなキモかわいい動物が癌の研究に一役買っているなんて、不思議ですねー。