口腔外科医のあれこれ

某市中病院で働く口腔外科医が、日々の診療のことや旅行記などなどを書いています。フィクションあり、ノンフィクションあり。信じるか信じないかはあなた次第。

消毒液のワナ

ある日、手術室での出来事

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手術室では、手術をする時に術野を消毒します。

うちではイソジンをよく使っているんですね。

うがいとかで使うイソジンと同じです。

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たまにこのイソジンにアレルギーのある人がいるので、その人はヂアミトールという消毒液を使います。

 

手術台にはいつも、

消毒液(イソジン→茶色、ヂアミトール→透明)

5000倍ボスミン液(止血用の薬、透明)

が別々のカップに入って用意されてるんですね。

 

その日は、カップの1つの方にだけ透明な液体が入っていました。

直前の手術もヂアミトール消毒だったので、皆、

(今日の看護師さんはヂアミトール消毒が好きなのかな?)

と勝手に思っており、なんでイソジンじゃないんだろー?くらいにしか思っていませんでした。

 

研修医・細田が

「じゃぁ消毒しまーす」

と透明な液の入ったカップを手に取り消毒鉗子を片手に手術台へ向かう。

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これで消毒液のついた綿球を掴み、術野を消毒するのだ。

 

後から入ってきた機械出しの看護師さんがそれを見て、

「あれ?誰が消毒だしてくれたんだ!忘れてたのよ、ありがとう〜」

 

もう1人の看護師さんが

「え??だしてないよ??」

 

「「「え、、、!?」」」

 

私「え?じゃぁこれ中身なに?」

 

看護師「…5000倍ボスミンですね……」

 

 

私「細田ちょっと消毒まったぁぁぁ!」

 

細田「はいぃ?」

 

私「それ5000倍ボスミンや!皮膚の血管収縮するわ!いや、止血にはいいかもだし、5000倍だし大丈夫だけど!とりあえずそれ置け!」

 

ぽかんとしながら、もう消毒しちゃいました…と細田。

 

なにぃぃぃ

 

まぁ5000倍ボスミンってもともと相当薄いし、特に何か起きるとは思えない。

止血に使うくらいだから、特に人体に大きな影響はないけど…

 

全く消毒できてない上に、消毒鉗子不潔になったわ!

 

後程しっかりイソジンで消毒し直しました。

 

 

何事も、確認は大事ですね…

劇薬とかじゃなくて本当によかった……

まぁそもそも劇薬とかカップに入れたりしないんだけどさ……

 

ちょっと一枚にしてみました。

わかりにくいかなぁ。

ご意見あればドシドシどうぞ!

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