口腔外科医のあれこれ

某市中病院で働く口腔外科医が、日々の診療のことや旅行記などなどを書いています。フィクションあり、ノンフィクションあり。信じるか信じないかはあなた次第。

懺悔

今日は完全に懺悔というか、自分への戒めを兼ねて。

 

今日はすごく忙しい1日でした。

3人いるドクターのうち1人は朝から学会へ。

部長は12時には出て別の病院へ。

なので、午前中は部長が初診の患者さんをみる日だったのですが、半分は私に丸投げされました。

私の金曜日の再診日は話が長い人が多く、心療内科デーとなっています。

そんな中、次の新規患者待ってますアピールをされ、汗汗。

明日は自分が学会発表なので、隙間時間で学会の準備もしたり。

 

再診の患者さん、新規の患者さんをそれぞれ1人抱えた状態でPHSに電話が。

 

相方からだったのですが、

「転倒で義歯の先端が欠けた人が来ていて、かかりつけの歯医者さんに手紙を送るのにレントゲンが必要か教えてほしいんですが」

と言われました。

私達歯科の中では、義歯=入れ歯なので、

「義歯が欠けただけならレントゲンをそもそも撮る必要ないと思うんですが、どこが折れたんですか?バネとかが歯茎に刺さってるってことですか?」

と聞くと、

「いや、取り外しできない義歯でですね…まぁこれで骨折とかはないと思うんでどっちでもいいと思うんですが…」

 

はい?

取り外しできない義歯(私の中では入れ歯)?

意味がわからん。そんなもんあるかい。

状況が全く理解できん。

私「状況全く理解できないです。一瞬見に行きますよ。」

相方「いやいや、そこまでのことでは。」

 

イライラがマックスに。

状況もわからんのにレントゲン必要とか言えるか!こっちは患者待たせてるんじゃ!!

見せる気ないなら電話してくんな!

「とにかく、状況がわからないのに必要か必要じゃないかなんて判断できません!全く理解できません!」

とキツめに言った。

だいぶキツめ。

「あ、わかりました〜。どのみち頭部CTとるんで、じゃぁそれでいきます〜。」

と言う相方。

「わかりました、じゃぁ後で見ときます。」

そこで電話を切った。

 

あまりにもイライラしすぎて、側で聞いていた衛生士さんにぶちまけると、

「先生がそこまでイライラするのめずらしいね。まぁ向こうが悪いよね〜。わからないなら呼べばって話でしょ。」

と言ってくれた。

 

 

だが、昼を食べてお腹も落ち着くと、さっきの私の態度は酷かったな…と反省し始め、相方に、いらいらして言い方が悪かったです。ごめんなさい。

とラインした。

しかし、全然返信はない。

 

その後も手術やら急患やら予定の外来患者やらを一人でどうにかこなし、カルテを書き、返書を書き、やっと解放された19時半頃に相方から、

「ごめん、忙しそうなのに下らない電話して。」とラインが。

やっと解放され、お腹もペコペコだった私は、

「いや、私も忙しかったから…お腹空いたし終わったならご飯行こうよ。」

といい、車で一緒に帰ることになった。

 

帰り道、今日の話をしていた。

のんか大変そうだったね、と言われたから、今日すっごく大変だったという話をしていたのだが、いつもと彼の対応の仕方が違う。

どこかテンションが低く、あまり私の方を見ようとしない。

 

聞くと、今日の義歯のくだりで、もう一瞬もこの人と話していたくない、と思ったのだそう。

 

そして今日のくだりをよくよく聞いたら、彼は義歯=入れ歯や差し歯全般を意味すると思っていたらしい。

なので、

入れ歯=取り外しのできる義歯

被せ物や差し歯=取り外しのできない義歯

と認識していたのだそう。

どうりで会話が噛み合わないわけだ。

 

私は一般的に、義歯=入れ歯、補綴物=被せ物、差し歯やブリッジ

という頭で、患者さんもその認識の人がほとんどなので、それが一般常識だと思っていた。

 

なので、彼がなぜとんちんかんなことを言っているのか全く理解できず、イライラしたのである。

そして、彼は優しいので、そのイライラをぶつけても側を離れないとつけあがっていたのだ。

 

自分の常識を相手に当てはめてはいけないのだな…

そして、イライラしたからといって、親しい人にキツくあたるのは間違っているな…親しき仲にも礼儀ありとは正にこのこと…

と痛感した。

 

彼が今どう思っているかはわからないし、今後どうなるかもわからないが、ほんとに死ぬほど反省した。

 

イライラすると醜い自分が出てきて、自分でも嫌になる。

そりゃぁ、他の人がみたらもっと醜く写っていることだろう。

 

今回のことは良い教訓である。

本当に気をつけよう、と思ったのでここにしたためました。

お目汚し申し訳ありませんでした。