口腔外科医のあれこれ

某市中病院で働く口腔外科医が、日々の診療のことや旅行記などなどを書いています。フィクションあり、ノンフィクションあり。信じるか信じないかはあなた次第。

猫にご用心

ある日、病棟で口の開かない患者がいる、と言われ、往診に向かった。
向かった病棟で、ある神経内科の先生と遭遇。

 

実は彼女とは一度救急外来で破傷風の症例を経験していた。

(破傷風は土壌についた破傷風菌が傷口から入り込み、その菌が産生する神経毒素により筋肉の硬直をきたし、最悪の場合呼吸困難で窒息に至る可能性がある。)

 

その時の患者さんは、駅で転倒した5日後に口が開きにくい、飲み込みにくい、という症状の訴えがあり、諸々の診断結果より破傷風と診断された。

 

そもそも、破傷風を発症するのはかなり稀である。

まだ経験の浅い自分と、数年上の彼女は当然、今までにも1例しか経験がなかった。

 

 

そんな2人が、同じような症状の患者の診察でまた出会い…これはまさか…と2人で顔を見合わせた。
まさかねぇ、と言いながら患者の元へ向かうと、ばりっばりの破傷風所見である。。

 

足に壊疽部があり、感染源はそこしか考えられない…とりあえず培養!

 

神経内科のドクターから、破傷風の治療に関する説明…
を聞いていたら、

「光が刺激になるので、暗いお部屋に入っていただきます。次に目覚めるのは数ヶ月後かもしれません。」

こわっ こわいよ、そのムンテラ

 

そこへ、足の壊疽部を見に来た形成外科のドクターが…

「あ、じゃぁこれも言っとかなきゃかな?
次に起きたら、足、なくなってるかもしれません!」

え!?こわっ それもこわいよっ!

 

顎が開かなくて息も絶え絶えな患者さんが、

ど…どこまで…?と聞く

そこ!?そこじゃないよね!?

 

結局、その後足の壊疽の進行もなく、足は切断されず、暗室で1ヶ月過ごされた後、無事退院されていった。

 

感染源は、自宅で飼っている何匹かのネコ…の可能性が高いそうだ…

ネコこわっ🐈

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