口腔外科医のあれこれ

某市中病院で働く口腔外科医が、日々の診療のことや旅行記などなどを書いています。フィクションあり、ノンフィクションあり。信じるか信じないかはあなた次第。

ポケモン、貸しましょうか?

f:id:tct837etbd3:20181122180647j:image

先日、部長の代わりに手術室会議に出席することになった。

 

手術室会議とは、翌週の手術の順番を決めたり、緊急で入った手術を調整する会議。

麻酔科をはじめ、各科のお偉いさんが集合する。

その中に一人放り込まれた下っ端の私。

f:id:tct837etbd3:20181122183401p:image

ただでさえ初参加なのに、早口でポンポン進んでいくからついていけずアセアセ。

 

と、唐突に

「口腔外科はこのはみ出たのは時間内に終わりますか?終わらないなら別日に回してもらいたいんですが」

と言われ、ガタガタ震えながら、

「はい、終わらせます!」

とやや被せ気味に返す。

勿論表面上は余裕ありげに繕う。

 

コワモテ麻酔科部長はちらっと私を一瞥し、わかりました、じゃぁこれで。と一言。

 

その後も手術時間をはみ出た申し込みを容赦なくバッサバッサと切っていく麻酔科部長。

会議室に殺伐とした空気が流れる。

怖い……

 

 

全ての調整が終わり、

「月曜日の午前中が1枠空きますが、手術入れたい先生いますか?」

という声に、外科の先生が手を上げる。

しかし助手がいないかもしれず、どうしようか迷っているようだった。

 

少し考えたコワモテ麻酔科部長は、にやっと笑いながら

「そしたら、うちのポケモン貸しますよ!」

 

………ポケモン………?

 

f:id:tct837etbd3:20181122182608j:image

皆んなの頭にハテナが浮かぶ。

 

「研修医ですよ!研修医!麻酔導入し終わったら助手で投げ込みますよ!」

あぁ、そゆこと………なぜポケモンなんだ……

 

「最近はみ出してる手術多いですけど、ポケモンみたいにぽいって置くのやめてくださいね!連絡してくださいね!」

今度はドヤ顔しながら言うコワモテ先生。

 

いや、ちょっと、意味わからんし…

流行りに乗りすぎでしょう、先生……

この空気をどうにかしたかったのかもしれないですが……

凍ってます。寒いです。

 

集まった面々に笑いは起きず、不完全燃焼となった麻酔科部長を残したまま会議は終了した。

 

 

今年の忘年会、麻酔科の余興はさぞポケモンにまみれることであろう。

部長部長!ピカチュウ 耳つけて登場しましょうよ!絶対笑いとれますって!ね!

 

わくわく。