数年前、後期研修医だった頃に耳鼻科を回っていた。
ある日、救急に鯛の骨が喉に刺さって痛くてどうしようもない、と患者が直来したと電話がきた。
当時のオーベンと、
じゃぁ、サクッととってやるか!
とか言いながら準備し始める。
喉の観察とかは耳鼻科だと、鼻から内視鏡を入れて観察しているんだが、喉の方を見ても骨らしきものは見当たらない…
飲み込んじゃいましたかねー?
と聞くと、未だに痛い、という患者。
なぜ……と2人で頭をひねり、一応口も見ておこうか、と。
「じゃぁ、お口あけてくださーい」
するとっ
なんと、鯛のすごーくすごーく太い骨が、左右の扁桃腺を橋渡しするようにぶっ刺さっていた…。
内視鏡で見てもみつからない筈だよ……
ピンセットで骨を取ろうとするけど、なかなかしっかり刺さっていて取れない…
どうにかこうにか取り出してみたら、長さ7cmくらいの立派な骨であった。
骨を取る時もかなり痛かったようで、
「もう、鯛は二度と食べません……」
と涙ながらに帰っていった患者。
鯛よ、天晴れであった…患者が魚類恐怖症にならないことを祈るばかりである。
皆さん、魚の骨には十分お気をつけて………